2012年5月14日月曜日

脳はどのように質感を知覚するか?















食べ物や人間の肌など多くの自然な表面には独特の半透明感があります.私たちは,この半透明感も意外と単純な画像の特徴に基づいている可能性を明らかにしました.

不透明な表面の画像と比べて半透明な表面の画像では陰影がぼけたり薄くなる傾向があります.さらに透明度が高くなると陰影の明暗が反転することもあ ります.ただしハイライトの形や強さは透明でも不透明でも同じです.人間はハイライトと陰影のコントラストの関係を手がかりに透明感を知覚していると考えられます.実際,不透明な表面の画像のハイライト以外の部分のコントラストを下げたり反転させるだけでも表面は半透明なものに見えます.












光沢感や透明感が二次元の画像のなかに隠された情報に基づいていることがわかると,逆にそうした特徴を操作するだけで質感を変えてしまうことも可能になります.

左は石のような不透明な物体に,中央はゼリーのような透明感のあ る物体に,右は金属のような物体に見えます.ゼリーと金属は,実は左の物体の映像を単純なルールに従って変換しただけのものです(*1).現代のCGでは質感を再現するために非常に複雑な物理シミュレーションを用いますが,脳の情報処理の様式を参考にすると極めて単純なやり方で質感をコントロールできるかもしれません.

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